園芸学研究
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栽培管理・作型
白色バラ‘アバランチェ’の高温期の花色変化における発生条件の解明と対策
犬伏 加恵山内 雄太上田 浩史保富 正行二村 幹雄
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キーワード: β-カロテン, 変色, HPLC, 予措
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2024 年 23 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

白色スタンダードバラの主力品種‘アバランチェ’が高温期にオレンジ色を呈する現象に対し,発生条件の解明と対策の検討を行った.花色変化の原因となる色素はβ-カロテンであることを特定し,様々な条件で収穫および管理したバラの花弁のβ-カロテン含量を測定した.その結果,25°C 24時間の水あげでは変色しなかったが,3°C 24時間の水あげを行うとその後の25°Cでの観賞中にβ-カロテン含量が高まった.収穫直後に20°C 4時間以上の予措を行ってから3°Cの冷蔵庫に入れるとβ-カロテン含量は0.1 mg・100 gFW–1となり,見た目で変色を感じないレベルまで低下した.また,収穫時刻については,日の出後2時間および4時間に収穫した‘アバランチェ’はβ-カロテン含量が高く,日の出前2時間および日の出後10時間では低かった.さらに,生産現場での収穫および出荷を想定して,収穫時刻と冷蔵庫での水あげ時間の長さを変えて花色変化を調査した結果,16時頃収穫の場合にβ-カロテン含量が低くなるなど上述の結果を支持するものであった.栽培期間中の気温は,23°C一定以上でβ-カロテンが検出され,高い温度ほど含量が高くなった.以上から,栽培環境の制御による対策は現実的ではなく,収穫時刻の調整や収穫後の水あげ温度の変更による対策を推奨する.

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