2024 年 23 巻 2 号 p. 73-79
完全甘ガキ‘富有’,渋ガキの‘愛宕’および‘平核無’の3品種から1年間熟成して作製した柿渋原液のポリフェノール濃度を定量したところ,‘富有’由来の柿渋の濃度は半量程度であった.ただ,柿渋原液を凍結乾燥して得た柿渋乾燥粉末量は‘富有’で半量程度であったため,一定量の柿渋乾燥粉末を溶解して濃度調整した機能性測定用の試料サンプルではポリフェノール含量に品種間での有意性はなかった.そこでこの再調製した試料を用いて,DPPHラジカル消去活性を評価すると3品種ともに同等の強い抗酸化活性を示した.また,α-グルコシダーゼ阻害活性においても3品種ともに同等の阻害活性が認められ,さらにLineweaver-Burkプロットからα-グルコシダーゼ阻害様式はいずれも酵素の活性部位以外に作用する非競合阻害であると考えられた.以上の結果から,完全甘ガキ由来の柿渋も渋ガキ由来の柿渋と同等の機能性を有しており,健康機能性に着目した利用可能性が示唆された.しかしながら,これらの結果とは対照的に,マウスを用いた柿渋乾燥粉末溶解液の強制経口投与による経口グルコース負荷試験では,‘富有’由来の柿渋乾燥粉末溶解液は‘愛宕’由来の溶解液ほどの血糖値上昇抑制効果が認めらなかった.この点は,‘富有’由来の柿渋乾燥粉末の全糖量が‘愛宕’や‘平核無’と比較し有意に高いことが影響し,見かけの血糖値が高く測定された可能性が考えられた.また一方で,本試験の柿渋投与量を先行研究と比較したところ,ポリフェノール量が2倍近く低かった.従って,生体に対する効果の評価については,糖の存在を考慮に入れたうえで柿渋のポリフェノール含量を調整するなど再実験が必要である.