園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
栽培管理・作型
キュウリ(Cucumis sativus L.)促成つる下ろし栽培における主枝更新のための摘心反復が収量構成要素に及ぼす影響
安藤 英伍前田 和也相見 直人安 東赫
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 24 巻 3 号 p. 231-240

詳細
抄録

更新つる下ろし栽培は,誘引枝を随時摘心し下位から伸びる新しい側枝に置き換えていくキュウリの整枝法の一つである.本整枝法により作業負荷の低減や果実の成長を制御できることが期待されているが,摘心の反復が作物の成長と収量に及ぼす生態生理学的な影響は明確になっていない.本研究では2020年と2021年に‘ニーナZ(S-27Z)’を用いて行われた促成つる下ろし栽培と更新つる下ろし栽培を収量構成要素の観点から比較解析した.その結果,更新区は対照区と比較して収量が減少することが示された(対照区:51.5 kg・m–2,対照区:23.3 kg・m–2).いずれの試験区においても流れ果はほとんど発生しなかった.地上部総乾物生産量も更新区で減少し,同区の光利用効率は対照区より低くなった.収量の減少は主に節数とそれに伴う着果数の減少による果実への乾物分配率の低下に起因することが示された.節展開の抑制に合致して,摘心後の新枝の成長が冬季は一時的に,春季は恒常的に抑制されており,相応する地上部の乾物分配の変化が見られた.主枝更新のための摘心はその収量に対する負の影響や流れ果の発生状況を考慮しつつ活用するのが望ましいと考えられる.

著者関連情報
© 2025 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top