園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
バラ切り花の花持ちに及ぼす生け水へのポリアミン添加の効果
名田 和義川口 敏弘橘 昌司
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2004 年 3 巻 1 号 p. 101-104

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抄録

ポリアミンの切り花品質保持剤としての利用性を検討するため,生け水へのポリアミンの添加がバラ(Rosa hybrida Hort.,‘ノブレス’)切り花の花持ちに及ぼす影響について調査した.茎の長さを6 cmに調整した切り花を様々な被検液を含む生け水に挿し,人工気象室(23℃,相対湿度75%,12時間日長,光強度20 μmol・m2・s1)で約2週間保持した.スクロースと8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS)の混合溶液(濃度はそれぞれ30 g・liter1,2 g・liter1)に挿した切り花は,純水に挿したものより約4日間花持ちが長くなった.一方,0.1 mMのPut, SpdまたはSpm溶液に挿した切り花は,純水に挿したものより花持ちが悪くなった.しかし,スクロース + HQS溶液に0.1 mM Putを加用すると,スクロース + HQS溶液単独処理の切り花より花持ちが2日間延長した.SpdおよびSpmにはそのような効果は認められなかった.Put加用スクロース + HQS溶液に挿した切り花は,スクロース + HQS溶液単独のものに比べて花弁展開が遅く花弁のフルクトース含量が低かった.以上より,Putが花弁のスクロース代謝を変化させ,その結果,花弁細胞の成長と花弁展開が遅延し,バラ切り花の花持ちが延長したと考えられる.

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© 2004 園芸学会
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