園芸学研究
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繁殖・育苗
アシタバ(Angelica keiskei (Miq.) Koidz.)培養体由来根組織からの不定芽,不定胚形成および植物体再生
古谷 博細木 高志
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2004 年 3 巻 4 号 p. 361-366

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抄録

組織培養によるアシタバ(Angelica keiskei)の増殖技術を確立するために,葉柄切片および再生植物の根組織切片からの不定芽,不定胚誘導および植物体再生について検討した.
葉柄培養は,未展開葉基部の横断切片を外植体として用い,1~2 mg/l 2,4-Dと0,0.01および0.1 mg/l BAを組み合わせて添加したMS培地に置床し,25℃,3,000 lx,16時間照明下で行った.外植体から形成したカルスは,植物生長調節物質を添加しないMS培地へ移植して継代培養を行うと不定芽が形成し,外植体あたり4~10個の再生植物が得られた.
次に,再生植物の根組織切片を外植体として用い,2,4-DとBAを添加したMS
培地に置床し,25℃の暗黒条件下で培養した.外植体からの不定胚誘導は2,4-Dを0.5 mg/l以上添加した区で認められ,1~2 mg/l 2,4-D単独添加区および0.01,0.1 mg/l BA併用添加区ではいずれも100%の不定胚形成率であった.従って,不定胚形成にはBAの影響は少ないものと推察された.不定胚は,植物生長調節物質を添加しないMS培地に移植して継代培養を行えば幼植物体に生育した.なお,順化後,ポット植えした再生植物は,45日後には新葉が現れ生育は旺盛であった.
このことから,アシタバの組織培養による増殖は,葉柄培養による不定芽形成よりもin vitro培養体の根組織切片培養による不定胚誘導の方が増殖効率が良いことが明らかとなった.

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© 2004 園芸学会
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