園芸学研究
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栽培管理・作型
カラムナータイプリンゴ‘メイポール’の樹体生育・果実生産効率・乾物生産特性に及ぼす整枝法の影響
猪俣 雄司工藤 和典和田 雅人増田 哲男別所 英男鈴木 邦彦
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2004 年 3 巻 4 号 p. 387-392

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抄録

マルバカイドウに接ぎ木したカラムナータイプ‘メイポール’を用い,7年生までの樹体生育,果実生産力,乾物生産特性に及ぼす整枝法の影響を比較検討した.
Y字形法は1本主枝法と比べて,樹冠幅の拡大が速く,花芽着生数,新しょう本数および総伸長量,側枝本数も多かった.樹高は,1本主枝法の方が高かった.
果実,葉,新しょう,新しょう以外枝の最大分布位置は,1本主枝法では樹齢の増加にしたがって樹冠上部に移行したのに対し,Y字形法では5年生以降が200 cm前後の部位で一定となった.
樹当たり収量は5年生まで差がなく,6および7年生はY字形法で多かった.土地面積当たり累積収量は1本主枝法で多かったが,6年生以降差が縮まった.平均果実重は,5年間のうち3年間でY字形法で重かった.
高さごとの相対光量子量は,樹齢の増加とともに樹冠中・下部で低下したが,その程度は,1本主枝法で著しかった.高さごとの葉面積は,6年生以降,地表200 cm前後の部位で1本主枝方よりY字形法で多かった.
7年生の総葉面積は,1本主枝法で10.3 m2,Y字形法で14.5 cm2だった.葉面積指数は1本主枝法で高く11.8,Y字形法で7.6だった.比葉面積は,新しょう葉では差はなかったが,新しょう以外葉はY字形法で低かった.
7年生の年間乾物生産量は,1本主枝法で約3.3 kg,Y字形法で約5.6 kgだった.器官別分配率に明確な差はなかった.葉の乾物生産能および果実生産能は,1本主枝法でそれぞれ3.67,0.56,Y字形法で3.97,0.77となり,Y字形法で高かった.
したがって,カラムナータイプリンゴを用いた省力,高品質果実生産には,Y字形整枝の方が適していると考えられた.

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