2004 年 3 巻 4 号 p. 381-386
養液栽培した12月加温作型ブドウ‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’を用いて,夏季せん定および夏季の施肥量が肥料成分の吸収および夏季に再伸長した新梢の生長に及ぼす影響を検討した.
夏季せん定区での枝の伸長時期は慣行区よりやや遅れた.窒素,リン酸およびカリウムの吸収時期は,慣行区よりもやや遅れたが,夏季の総吸収量には差が認められなかった.夏季せん定区の結果母枝当たり葉面積およびLAIは慣行区よりも小さくなった.9月における葉内リン酸濃度は夏季せん定区より慣行区でやや高かった.しかし,窒素およびカリウムの濃度は夏季せん定により影響されなかった.
夏季の施肥量が少ない5 gN・m−2区(以下5 g区)では,6月~9月に吸収した窒素量が少なく,施肥量の多い15 g区では窒素吸収率(施肥窒素に対する吸収窒素量の割合)がやや低かった.施肥量が異なっても結果母枝当たり葉面積およびLAIの差は小さかった.9月における葉内の窒素およびカリウム濃度は明らかに施肥量の影響を受け,窒素は5 g区で濃度が低く,カリウムは15 g区で高かった.