園芸学研究
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栽培管理・作型
‘メイポール’若木樹の樹体生育・果実生産効率・乾物生産力特性に及ぼす台木の影響
猪俣 雄司工藤 和典和田 雅人増田 哲男別所 英男鈴木 邦彦
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2005 年 4 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

カラムナータイプ‘メイポール’を用い, 台木の違いと樹体生育, 果実生産および乾物生産力特性について検討した.
5年生の樹高, 樹冠幅, 幹断面積, 新梢本数および新梢長は, マルバカイドウ, M.26, M.27の順に大きく, M.27では4年生以降から生育が鈍化した. 花芽着生はM.26とM.27で多かった. 5年生樹の新梢中位葉の葉身長は, M.27で短くなった.
高さ毎側枝長および葉面積は, マルバカイドウ, M.26, M.27の順で多く, 逆に相対光量子量は少なかった. 1樹および10a当たり収量はマルバカイドウ, M.26, M.27の順で多く, 果実生産効率はM.27, M.26, マルバカイドウの順で多かった. 果実重は, マルバカイドウよりもM.26, M.27で重かった.
年間乾物生産量は, マルバカイドウに対して, M.26で40%, M.27で23%であった. 器官別分配率は, わい化度の強い台木ほど果実に高まり, 枝幹部や太根では減少した.
葉乾重当たり総乾物重に差はなかったが, 葉面積当たり総乾物重, 並びに葉乾重および葉面積当たり果実乾物重は, M.27, M.26, マルバカイドウの順で高かった. 以上のことから, ‘メイポール’において, 5年生樹までは, わい性台木を使用した場合, 普通品種と同様なわい化効果が得られることが明らかになった. したがって, カラムナータイプ品種の場合でも, 台木を選択することによって目標樹高にすることが可能であり, 高品質果実や高生産効率を実現する栽培技術の開発が可能と考えられる.

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