園芸学研究
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栽培管理・作型
傾斜地トマト栽培のための低コスト・閉鎖系養液栽培システムの開発
東出 忠桐笠原 賢明伊吹 俊彦角川 修
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キーワード: 配管, 育苗装置, 高低差, 点滴, 吐出
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2005 年 4 巻 1 号 p. 33-40

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抄録

傾斜地トマト栽培で問題となる土揚げ作業を省略し, 土壌病害を防ぐために傾斜地用養液栽培システムを開発した. 圧力補正機能付の点滴チューブを傾斜地において等高線方向に配置した場合, 給液中, 定常状態での吐出速度には位置的な差異はみられなかったが, 給液停止後チューブ内の水が低い位置から吐出した. 一定水圧以下になると吐出が停止する点滴器具を用い, チューブ間の高低差に起因するチューブ内水圧の差が停止圧以内になるように配管を逆止弁などで分割したところ, 給液停止後の吐出はなくなった. 傾斜地に等高線方向にロックウールベッドを配置し, 原水圧で培養液を給液する傾斜地養液栽培システムを試作して, トマトを栽培したところ, 位置的に高いベッドよりも低いベッドの方において果実収量が多かった. 同装置で原水圧を十分に高く設定してトマトを栽培したところ, 位置的な収量の差はみられなかった. この傾斜地養液栽培システムを改良し, 圃場の傾斜によって排液を回収し, アスピレーターにより無動力で再混入させる閉鎖系システムを作成した. 約7ヶ月間トマトを栽培し, 10aあたり12.8トンの収量が得られた.

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© 2005 園芸学会
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