園芸学研究
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発育制御
数品種のニホンナシに対するエセフォンの摘花効果
大川 克哉白石 奈穂小原 均松井 弘之
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キーワード: 着果, 果実品質, 薬剤摘花
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2006 年 5 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
ニホンナシに対するエセフォンの摘花効果について調査した.‘豊水’では,満開約1週間前および2週間後に100および250 ppmエセフォンを花(果)そうに散布処理したところ,満開約1週間前の250 ppm処理で最も摘花効果は高かった.‘幸水’では,満開約2週間前,1週間前,満開日および満開2週間後に100~1,000 ppmエセフォンを花(果)そうに散布処理した.摘花効果はほとんどの処理時期において500 ppm以上の濃度で認められたが,1,000 ppm処理では過剰摘花となる場合があった.また,同じ濃度処理区間で処理時期による効果の違いを比較すると,摘花効果は満開1週間前処理で高い傾向にあった.収穫時の果重は満開2週間後の250および500 ppm処理では著しく減少した.‘若光’,‘新星’および‘新高’では,満開約1週間前に250および500 ppmエセフォンを散布処理したところ,いずれの品種においても500 ppmで摘花効果が認められた.これらのことから,満開約1週間前に‘幸水’,‘若光’,‘新星’および’新高’では500 ppmを,‘豊水’では250 ppmを花そうに散布処理すると,効率的に摘花されることが明らかとなった.また,これらの処理を行っても収穫時の果実品質は無処理果とほとんど変わらなかった.摘花効果を得るのに必要なエセフォン濃度に品種間で差のあったことから,エセフォンへの感受性は品種間でやや異なるものと考えられた.
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© 2006 園芸学会
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