園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
栽培管理・作型
人工受粉の時期と回数がヤマブドウの結実と果実品質に及ぼす影響
本間 英治宍戸 麻依子平 智
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 6 巻 2 号 p. 229-232

詳細
抄録

ヤマブドウ果実の安定生産技術の確立に関する基礎的知見を得るため,雌株と雄株の開花パターンを調査するとともに,雄株花粉を用いた人工受粉の時期と回数が結実率と収穫時の果実品質に及ぼす影響を調査した.また,ブドウ栽培品種の花粉を用いた場合の人工受粉の効果をヤマブドウ花粉と比較した.
ヤマブドウの開花期間は雌株が10日,雄株が9日であった.結実率は開花の前期(開花始期後2日)と後期(開花始期後5日)の2回人工受粉した場合が最も高かった(54.5%).1回のみ人工受粉する場合は,結実率は後期受粉(46.2%)が前期受粉(24.0%)よりも高かった.収穫時の果汁の屈折計示度は,後期受粉が前期受粉より高い傾向が認められた.
栽培品種の‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’の花粉(発芽率18.4%を3倍希釈)と‘グローコールマン’の花粉(発芽率6.1%)を人工受粉した場合の結実率はそれぞれ47.9%および33.3%で大差が認められたが,生理的活性の高い花粉を確保できればヤマブドウ人工受粉の花粉源として利用可能であると考えられた.

著者関連情報
© 2007 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top