2007 年 6 巻 2 号 p. 271-275
ブドウ‘安芸クイーン’における着色の問題には,着色不良だけでなく果皮が暗赤色となる深色化現象がある.本研究では,‘安芸クイーン’の着色に及ぼすアブシジン酸(ABA)処理の影響を,着色促進と深色化の両面から検討した.満開後54(ベレゾーン),63および72日後に1,000 ppmのABA水溶液を有核果房に散布した.54日処理区では,処理の効果はほとんど認められなかった.63および72日処理によってアントシアニン総量が高まり,適着色果粒が増加したが,深色化果粒も多く発生した.また,全処理区で,同一果房中の果粒の着色が不均一なことが示された.果皮のアントシアニン組成,果汁の糖度,有機酸含量,果房重および平均果粒重には,処理間で差が認められなかった.