園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
普及・教育・利用
ホームユースのシクラメン鉢物の生育が消費者の感情に及ぼす影響
朴 昭英山根 健治藤重 宣昭八巻 良和
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 7 巻 2 号 p. 317-322

詳細
抄録

冬季に人気の高い室内植物であるシクラメン鉢物を用い,育てる人による生育の違いやその生育状況が人に与える影響を調査した.栃木県在住の女性(46名,平均46.1才)を被験者とし,各自宅で栽培してもらいながら生育と心理的な調査を行った.3か月間の生育と品質は被験者による変動が大きかったため,植物の生育状態別により被験者を五つのGradeに分類した.植物の生育と被験者の自己評価(r = 0.7, p < 0.001),満足感(r = 0.61, p < 0.001)および楽しさ(r = 0.38, p < 0.012)との間には有意な相関が認められた.気分を評価するPOMSの測定では植物の介入によって緊張―不安,抑うつ―落込み(D),怒り―敵意(A-H)および混乱の得点の有意な低下が認められた.特にGrade 5(生育良好)の被験者においてDおよびA-Hの顕著な低下が認められた.Grade 5グループにおいてエゴグラムの適応した子供の自我が低下し,養育的,大人の自我および自由な子供の自我の得点が増加傾向にあった.鉢物を置いた部屋の印象を26項目のSD法で解析したところ,「快適さ」と「華やかさ」は高まり,「簡素さ・清潔さ」は低下する傾向が認められた.以上の結果から,鉢物が消費者のD,A-H,「快適さ」などの感情に好影響を与えるだけでなく,その生育状況と満足や楽しさなどに関係があることが示唆された.

著者関連情報
© 2008 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top