抄録
オウトウ樹の根圏土壌表面に不織布シートを敷き,土壌の一定の深さまでビニルフィルムを縦に張り巡らすことで,根圏土壌への雨水を遮断し(以下,マルチ処理区),裂果発生率とともに,土壌水分,樹体の水分状態,葉形質,果実の肥大成長および果実品質に及ぼす影響を調査し,露地栽培(以下,対照区)および雨よけテント栽培(以下,雨よけテント区)と比較した.その結果,マルチ処理区の裂果発生率および裂果程度は対照区に比較して大きく低下した.また,樹上散水処理によるマルチ処理区の裂果発生は対照区に比べ著しく抑えられた.土壌水分(土壌水分張力および含水比),各器官水ポテンシャルおよび葉からの蒸散速度を調査した結果,マルチ処理区において乾燥ストレス状態が維持されていることが確認された.果実成長第3期後半におけるマルチ処理区の果実横径は他の2区よりも有意に小さかった.この期間における果実の膨張・収縮過程をギャップセンサ法により調査したところ,対照区の果実はこの期間を通してほぼ連続的に膨張したが,マルチ処理区の果実は収縮と膨張を頻繁に繰り返した.雨よけテント区に見られた陰葉化現象と果実の着色不良は対照区と同様にマルチ処理区には見られなかった.