抄録
ナスの花粉の発芽に及ぼす置床後の培養温度の影響について寒天培地上で検討した.花粉の発芽および花粉管の伸長は,花粉の置床直後に発芽適温の25℃で1時間以上経過すれば,その後に15℃に遭遇しても,常時発芽適温で経過した場合と比べて同等であった.一方,置床後に一時的に15℃に遭遇した場合には,その後に25℃に1時間遭遇しても有意に劣ることが示された.ナスの慣行加温促成栽培における日中の25℃加温と受粉時間帯の果実生産への影響については,11:00~14:00の3時間の加温処理中に人為的に授粉することにより,種子数,正常果収量および果実外観は,加温処理外の時間に授粉した場合に比べて有意に向上した.また,それらは11:00~12:00の1時間の加温処理時に授粉することだけでも,加温処理をしない慣行栽培に比べて有意に向上した.