抄録
ブドウサンショウの秋季の早期落葉による不時発芽を抑制する技術を開発する目的で,ブドウサンショウと同じミカン科のウンシュウミカンで実用化されている植物成長調節剤エチクロゼートと,カンキツ類で用いられていたNAA,MHの3剤を用い,秋梢の発生抑制効果を検討した.栽培圃場で濃度を変えた植物成長調節剤3剤を散布し,9日後に全摘葉して枝を採取して枝挿し法を行うとともに,試験圃場でも発芽所要日数と発芽率を調査した.その結果,NAA200 ppm処理での発芽所要日数は約30日で,最も発芽抑制期間が長く,枝挿し法での発芽枝率は0%であった.また,試験圃場での発芽率も9%と有意に低かった.このことから,ブドウサンショウの秋梢発生抑制にはNAA200 ppm処理が有効なことがわかった.