園芸学研究
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原著論文
Lactuca属とCichorium属におけるセスキテルペンラクトン含量の変異
荒川 浩二郎南 峰夫中村 浩蔵松島 憲一根本 和洋
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2008 年 7 巻 4 号 p. 499-504

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抄録

Lactuca属とCichorium属植物に含まれているセスキテルペンラクトン類(sesquiterpene lactones, SLs)には多くの薬理効果が報告されている.そこでSLs高含量品種開発の基礎資料とするために,HPLCを用いてSLs含量の属間,種間,種内系統間変異を調査した.野生種を含む2属6種11系統のSLs含量を比較すると,Lactuca属栽培種(L. sativa L.)はLactuca属野生種およびCichorium属栽培種より明らかに含量が低く,属間差,種間差が認められた.栽培レタス(L. sativa)において形態の異なる3タイプ57系統のSLs含量を調査した結果,種内でタイプ間差が認められ,最も一般的に食されているクリスプヘッドタイプ(玉レタス)がリーフタイプ,コスタイプより低含量で,変異幅も狭かった.苦味の主成分はSLsであることから,これらの結果は,苦味を低減して食味を改良してきたレタスの育種経過を反映していると考えられた.本研究で見いだした高含量系統はレタス栽培種におけるSLs高含量品種の開発に有用であると結論した.

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