抄録
アジアティックハイブリッドユリ‘秋田プチホワイト’は雄ずいの先端に葯を形成しない特徴をもつが,栽培時期と温度が葯の表現型や花被片斑点の形成に影響することがわかった.12月定植の促成栽培および5月定植の抑制栽培において,雄性不稔性は安定して発現したが,7月中旬から下旬の定植にのみ,葯が形成され,花粉も形成された.さらに,花被片斑点は,栽培温度が高くなるに従い発現する斑点数が増加した.これらのことから,高温期を経過する7月上~下旬定植の栽培を回避するか,施設内の気温上昇を抑制する栽培管理が必要である.また,この品種は,高温処理によって容易に稔性のある花粉を形成させることができるので,育種母本としても利用可能である.