園芸学研究
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8 巻, 2 号
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総説
原著論文
育種・遺伝資源
  • 神尾 真司, 田口 義広
    2009 年 8 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    岐阜県飛騨地域におけるモモ幼木の主幹部の障害および枯死樹の発生原因を解明するため,モモ台木用品種を複数供試して根圏土壌中の線虫密度の品種間差,生育に及ぼす影響ならびに障害樹,枯死樹発生との関連を調査した.土壌から分離された植物寄生性線虫のうちキタネグサレセンチュウと枯死樹発生との関係は明らかでなかった.ワセンチュウには品種間差が認められ,密度の高い‘おはつもも’は細根が脱落減少し,障害樹,枯死樹の発生率が高かった.一方,密度の低い‘ひだ国府紅しだれ’は発生率が低かった.これらのことから,主幹部障害と枯死樹の発生原因としてワセンチュウの関与が考えられた.
  • 岩本 英伸, 林田 慎一, 石田 豊明, 森田 敏雅
    2009 年 8 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    ニガウリの雌性型系統を種子親とした青中長系の一代雑種‘熊研BP1号’を育成し,半促成,早熟および抑制栽培における作型適応性を検討した.本品種は各作型において安定した多雌花性を表現し,特に,対照品種‘えらぶ’の雌花節率が低下した抑制栽培の生育後期においても高い雌花節率を維持した.収量は半促成および早熟栽培では‘えらぶ’に比べてやや多く,抑制栽培では約50%多かった.雌性型を種子親とする一代雑種の有利性がニガウリの育種において確かめられた.なお,本品種は生育初期に雄花が少ないため,受粉のための花粉用個体が必要である.
  • 古賀 武, 下村 克己, 末吉 孝行, 浜地 勇次
    2009 年 8 巻 2 号 p. 149-153
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    ナスの促成栽培に適した単為結果性品種を育成するに当たって,栽培時期が単為結果性系統の着果および果実肥大に及ぼす影響について検討した.単為結果性系統の着果率は栽培時期間に有意差が認められ,秋期および春期が冬期より低かった.また,人工気象室内において昼夜温を3水準に分けた試験では,気温が高いほど単為結果性系統の着果率は低下した.これに対し,単為結果性系統の正常肥大果率は,いずれの栽培時期とも95%以上で,着果した果実はほとんどが正常に肥大した.一方,冬期における単為結果性系統の着果率は系統間に有意差が認められなかったが,秋期および春期における単為結果性系統の着果率は系統間に有意差が認められた.従って,単為結果性系統の選抜は着果および果実肥大が不安定となりやすい促成栽培期間中の高温期に行うことが重要であると考えられた.
  • 佐藤 孝夫, 柴田 浩, 有野 賢三, 工藤 寛子, 間藤 正美, 山形 敦子, 三吉 一光
    2009 年 8 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    アジアティックハイブリッドユリ‘秋田プチホワイト’は雄ずいの先端に葯を形成しない特徴をもつが,栽培時期と温度が葯の表現型や花被片斑点の形成に影響することがわかった.12月定植の促成栽培および5月定植の抑制栽培において,雄性不稔性は安定して発現したが,7月中旬から下旬の定植にのみ,葯が形成され,花粉も形成された.さらに,花被片斑点は,栽培温度が高くなるに従い発現する斑点数が増加した.これらのことから,高温期を経過する7月上~下旬定植の栽培を回避するか,施設内の気温上昇を抑制する栽培管理が必要である.また,この品種は,高温処理によって容易に稔性のある花粉を形成させることができるので,育種母本としても利用可能である.
繁殖・育苗
  • 浅利 正義
    2009 年 8 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    ハイブッシュブルーベリーの効率的な大量増殖技術を開発するため,2~3 cmに短く切断した(短切)1年生の休眠枝(挿し穂)を用いた増殖法を検討した.短切挿し穂の腋芽の発芽適温は20℃前後であり,‘ブルーレイ’では発芽が暗黒条件で不良であった.照明条件では,‘ブルーレイ’と‘ディキシー’ともに高い発芽枝率を示した.短切挿し穂の腋芽の発芽に対するベンジルアデニン300 ppmと600 ppmの噴霧処理の効果は判然としなかった.照明条件で発芽処理した後に照明条件および暗黒条件で新梢が1 cmに伸長した短切挿し穂は,ピートモスと鹿沼土の等量混合培土に新梢基部が露出しないように挿し木することでいずれも90%前後が発根した.発根部位は新梢基部がほとんどであった.本法は慣行法と比較して苗の生育は劣るが,3倍量以上の挿し木苗を獲得可能である.
土壌管理・施肥・灌水
  • 犬伏 加恵, 堀田 真紀子, 今井 克彦, 間下 なぎさ, 大石 一史
    2009 年 8 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    土壌環境に関する項目と発症の関係を調査し,重回帰分析(数量化I類)の手法を用いることによって,ベンチ構造,土壌,灌水および施肥がカーネーション萎縮叢生症に及ぼす影響を明らかにした.本症は,コンクリートべた打ちの平床と枠板による隔離ベンチの構造に起因して排水が不良であることと,有機物含量が高く低固相率・高液相率の土壌であることによって発症が助長された.また,灌水間隔が長い場合や濃い濃度の液肥の施用のように,土壌中の水分含量や肥料濃度が急激に変化することも,発症を助長する重要な要因であった.
  • 窪田 聡, 村松 嘉幸, 松浦 真夕美, 伊藤 真広, 住吉 久, 腰岡 政二
    2009 年 8 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    バーク植えのオドンチオダの生育と開花に好適な施肥量を明らかにするために,2年間にわたって生育と開花に対する窒素,リン酸,カリ施肥の影響について検討した.窒素施肥は成長中のカレントシュート(CS)の乾物重の増加,葉面積の拡大および小花数の増加をもたらし,その効果は2年目で顕著になった.Nの最適施肥水準は緩効性肥料として560 mg/鉢/年と判断された.生育と開花が最も促進されたCSの最終葉の窒素含有率は1.86%であった.CSの最終葉の葉緑素濃度(SPAD)と窒素含有率との間には高い相関関係(r = 0.854)があり,最終葉のSPAD値から葉の窒素含有率を予測することが可能であった.生育と開花に対するリン酸とカリの影響はほとんどなく,リン酸とカリは緩効性肥料としてそれぞれ240 mg/鉢/年と280 mg/鉢/年程度の施肥量で十分であった.
  • 城村 德明, 桜井 直樹, 土田 靖久, 三宅 英伸, 東 卓弥, 竹中 正好
    2009 年 8 巻 2 号 p. 181-186
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    ‘南高’梅干しに発生して問題となっている,果肉の一部が硬くなる果肉硬化障害の発生要因を調査した.硬化部の果肉切片をアニリンブルーで染色した結果,細胞壁が青く染色されたことから,硬化障害の原因物質はカロースであることが推測された.また障害果は,塩漬け前に核付近に空洞が確認された果実に発生し,空洞に隣接した組織の細胞壁がアニリンブルーで青く染まることから,障害果は果肉が核から引きはがされた裂傷部に傷害カロースが蓄積したものと考えられた.この裂傷は,果実が旺盛な肥大をした結果発生するとことが認められた.また,結果枝のデンプンの不足や,果実の生育初期に乾燥ストレスを受けることによって果肉の細胞数が少なくなることも,発生助長要因になると考えられた.
栽培管理・作型
  • 福田 直子, 柴田 道夫
    2009 年 8 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    トルコギキョウの覆輪花弁の着色面積率は温度条件によって変動し20℃一定条件で顕著に増加することが明らかになっている.本報では施肥量と覆輪着色面積率および生育量との関係を調査した.覆輪安定性の低い品種‘キャンディマリン’を用いて12時間日長200 μmol・m2・s1の人工光条件において20℃,22℃,25℃一定の温度条件と,少肥,多肥,過剰区を組み合わせて栽培した.覆輪着色面積率は25℃一定条件下では10%未満と低く施肥量による差は認められなかったが,22℃および20℃一定条件では多肥区,過剰区,少肥区の順に高かった.着色面積率は切り花重や主茎節数との間に高い正の相関が認められた.従ってトルコギキョウの覆輪着色面積率は温度に次いで施肥量の影響を受け,切り花重や主茎節数で表される生育量が多いほど高くなることが明らかになった.次に覆輪12品種を20℃一定の自然光型人工気象室において少肥区(個体あたり窒素施肥量54 mg),標準区(同122 mg),多肥区(同542 mg)として栽培し,着色面積率に及ぼす施肥量の影響の品種間差を調べた.その結果,1品種を除いて施肥量が多いほど着色面積率は増加し,切り花重や主茎節数および到花日数も増加する傾向が認められた.多肥による着色面積率の増加程度には品種間差が認められ,覆輪安定性の高い品種は施肥の影響が小さいことが明らかになった.
  • 金 泳錫, 遠藤 昌伸, 切岩 祥和, 陳 玲, 糠谷 明
    2009 年 8 巻 2 号 p. 193-199
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    本実験ではイチゴ‘章姫’の固形培地耕における日中の根域加温処理が開花,生育および収量に及ぼす影響について調査した.処理区は,実験1(2005年9月26日~2006年5月24日)では無加温区(期間中培地平均温16.2℃),弱加温区(16.8℃),中加温区(18.6℃),強加温区(21.0℃)を,実験2(2005年9月26日~2006年5月24日)では無加温区(17.4℃),中加温区(19.3℃)および強加温区(22.0℃)を設けた.その結果,実験1,2ともに加温処理区では,第2~4腋花房における花房間の開花間隔が短縮されたために,第2腋花房以降の頂花の開花日が早まった.また,開花間隔の短縮および開花日の促進は,培地温度が高くなるほど顕著であった.加温処理による開花日の前進は,強加温区では最終的に開花花房数を1花房増加させ,収穫果実数,可販果収量を有意に増加させた.培地加温は,いずれの時期においても2月の葉柄長を除く植物体の生育,果実の成熟日数および可溶性固形物含有率に影響を及ぼさなかった.
  • 間藤 正美, 工藤 寛子, 山形 敦子, 佐藤 孝夫, 柴田 浩
    2009 年 8 巻 2 号 p. 201-208
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    7月下旬咲き小ギク‘小雨’,‘みちのく’,‘やよい’の生育に及ぼす気温とエセフォン処理の影響について調査した.開花期は,各年の気温によって大きく変動した.変動の要因は,花芽分化期の低温や花芽発達期の高温であり,特に後者の影響が大きかった.‘小雨’は,これらの時期の高温や低温によって発蕾後の花芽発達が抑制されて,開花が遅延しやすい品種であった.‘みちのく’は,花芽分化期の低温により花芽分化および発蕾前の花芽発達のみが抑制され,開花の年次変動の小さい品種であった.‘やよい’は,花芽発達期の高温で発蕾後の花芽発達が抑制され,開花の年次変動が供試3品種中で中位の品種であった.7月下旬咲き小ギクの開花は,エセフォン処理によって遅くなるが,その程度も品種間差があった.供試3品種において,エセフォン処理は,主に花芽分化および発蕾前の花芽発達を抑制した.しかし,‘小雨’および‘やよい’に対するエセフォン処理では,気温によって発蕾後の花芽発達の抑制程度に大きな変動が見られた.7月下旬咲き品種のエセフォン散布処理による盆出荷作型の開発において,‘みちのく’の様に気温による開花の年次変動が小さい有望な品種があることが判明した.今後,適応する品種を選抜して,盆出荷のための適正な散布方法を開発する必要があると考えられた.
  • 薬師寺 博, 上野 俊人, 東 暁史, 児下 佳子
    2009 年 8 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    ブドウの無核果生産のためのジベレリン処理用カップの上部に円形のブラシを付けることによって,開花期の第1回ジベレリン処理と同時に花冠取りができる道具(花冠取り器)を考案した.本器は,ジベレリン溶液に花穂を浸漬する際に上部にあるブラシによって花冠が効率よく除去できるよう工夫されている.‘巨峰’および‘ピオーネ’の露地栽培樹で試験を行った結果,対照区(カップのみ)では,処理直後の花冠除去率が4~8%であったのに対して,花冠取り器区では46~53%であった.処理2日後では,対照区の花冠除去率が38~53%であったのに対して,花冠取り器区は70~76%であった.処理後の幼果ならびに収穫果においてブラシに起因する傷は果面上に観察されず,果実品質への影響は認められなかった.これらの結果から,‘巨峰’および‘ピオーネ’無核栽培に花冠取り器を利用することによって,第1回ジベレリン処理と花冠取りが同時に実施できることを示せた.
発育制御
  • 李 又紅, 佐々 大輔, 松原 陽一, 越川 兼行
    2009 年 8 巻 2 号 p. 215-219
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    菌根菌(Gigaspora margarita, Glomus mosseae, Gl. aggregatum)共生したイチゴ(‘濃姫’)の不織布ポットを利用した高設栽培における収量性について調査した.接種10週間後,すべての接種区で植物体生長促進効果がみられ,感染率には菌種間差があった.収穫開始後,頂果房・腋果房における収量推移にはピーク期が存在し,各果房のピーク期前後における収量変動は接種区で小さく,無接種区より安定した収量推移であった.総収量は菌種に関わらずすべての接種区で増加し,これには特に大果(3L:27 g,2L:21 g)の割合の増大が寄与していた.これらのことから,不織布ポットを利用した高設栽培において,菌根菌接種による植物体生育の改善および収量増加が確認された.
  • 斎藤 秀幸, 斎藤 隆
    2009 年 8 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    カブの花房形成における春化程度を明確にするため,まず,低温処理の温度と期間の影響について,次に,低温処理後の短日処理期間の影響について,指標“花成強度”を用いて検討した.‘耐病ひかり’の催芽種子を0,3,6および9℃で7~42日間処理して育成した結果,花成強度は,いずれの温度区においても処理期間が長いほど高くなったが,14~28日間処理では,3℃区で1.7~47.1%と最も高く,0℃と6℃でこれに次ぎ,9℃で0~8.3%と最も低かった.従って,3℃前後がカブ‘耐病ひかり’の催芽種子において低温感応に最も影響の大きい温度であると考えられた.次に,催芽種子を3℃で14~35日間処理した後,8時間日長の短日処理を0~50日間行った結果,花成強度はいずれの低温処理期間でも短日処理期間が長いほど順次低くなったが,短日50日間処理区で著しく低かった.このことから,短日処理期間が長いほど花成における低温作用は消去されることが確認された.また,低温処理期間が長いほど短日による低温作用の消去は次第に困難になり,完全に消去されなくなることも確認された.
  • 楊 学虎, 冨永 茂人, 平井 孝宜, 久保 達也, 山本 雅史
    2009 年 8 巻 2 号 p. 227-234
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    タンカン果実の連年安定生産技術改善のための基礎的知見を得るために,‘垂水1号’を供試して,果実発育,着色,果汁成分,砂じょうの発育および呼吸活性の時期別変化を調査した.果実は7~12月にかけて旺盛に肥大し,それには7~11月にかけての砂じょう重の増加が大きく寄与していた.12月以降,果実肥大は低下した.じょうのう当たりの砂じょう数は7月には収穫時とほぼ同数であった.砂じょう長は8~2月まで緩やかに増加した.砂じょうの呼吸活性は7~11月にかけて急速に減少し,11月以降はほぼ一定であった.果皮の着色は10月から始まったが,果肉の着色より遅れた.糖度(Brix)は10月から増加し,それは主要糖であるスクロースの増加によるものであった.グルコースとフルクトースの含量は低かったが,収穫直前にわずかに増加した.滴定酸含量は8月に最高値を示した後,12月まで急激に減少した.12月以降は1%前後で推移した.滴定酸含量は果汁中で90%以上を占めるクエン酸の変化と一致した.クエン酸以外にリンゴ酸が検出されたが,リンゴ酸含量は終始低かった.
収穫後の貯蔵・流通
  • 土井 元章, 釣賀 美帆
    2009 年 8 巻 2 号 p. 235-241
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    キク(Dendranthema grandiflora(Ramat.)Kitamura)‘神馬’のシュートセグメントを用い,湯あげや生け水への界面活性剤の添加による水あげについて,生け水の物理的特性との関係を検討した.相対湿度を100%近くとし温度を0~40℃にかえて水あげを行ったところ,高温ほど新鮮重の回復が早くなった.水あげ開始6時間目の新鮮重(y)と生け水の動粘度(x)との関係は有意に直線回帰(y = −3.86x + 103.10,R2 = 0.92**)され,同時刻までの吸水量(y)とは反比例の関係〔y = 10.36x/(−0.28 + x),R2 = 0.94**〕にあった.これらの実験結果から,切り花による吸水は部分的にはハーゲン・ポワズイユの法則から説明することができ,湯あげによる吸水促進効果は水の動粘度の低下が通導抵抗の低下をもたらしていることに起因していることが示された.生け水へポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテルや「新グラミン」のような界面活性剤を添加したところ,低温下でも新鮮重の回復が速やかとなった.これらの界面活性剤を添加した生け水の表面張力は脱塩水の半分近くにまで大きく低下し,このことが導管内へ入った水のマトリックポテンシャルの上昇を介して水あげを促進しているのではないかと考えられた.
普及・教育・利用
  • 杉浦 広幸
    2009 年 8 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,わが国の保育者養成教育での園芸・農業の利用促進のため,それらの授業に対する保育科の学生の姿勢,評価および要望について検討した.福島学院大学保育科で実施された園芸・農業の授業で,21名の学生に課題に取り組ませて経過を観察した.また,質問紙を用いて園芸・農業の授業における主なプログラムの評価について調査した.学生が個人研究の課題とした計画は,野菜を栽培して食べるが13で最も多かった.またその目的では,育てる喜びを感じるや,食べる喜びを感じるが多かった.学生によるプログラムの評価は,食べる行為を伴う収穫物の利用で高く,特に収穫した野菜でカレー(サフランライス付き)を作って食べたこと,収穫したイモを落ち葉で焼きいもにして食べたことの評価が高かった.実施しなかったプログラムの中で学生に希望するものがあるか回答を求めたところ,米作りが7で最も多かった.調査の結果,園芸・農業のプログラムは保育に役立つことが学生らにも理解されていることから,保育者養成教育におけるそれらの学習活動の普及が期待される.
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