園芸学研究
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発育制御
温度が夏秋ギク‘精雲’の開花遅延と貫生花の発生に及ぼす影響および貫生花発生率の減少対策
谷川 孝弘松井 洋小林 泰生
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キーワード: 花芽発達, キク, 奇形花, 総苞片
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2009 年 8 巻 4 号 p. 495-501

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抄録

夏秋ギク‘精雲’の開花期の遅延と貫生花を発生させる温度要因を明らかにし,計画的出荷および貫生花発生率の減少対策を確立するため,昼/夜温および高温に遭遇する花芽発達時期が開花と開花時の形質に及ぼす影響について検討した.夏秋ギク‘精雲’の発根苗を栽培箱に定植し,温室内で暗期中断を行って花芽分化を抑制した.6月18日に電照を打ち切り,翌日から栽培箱をファイトトロンに移し,昼(6:00~18:00)/夜温(18:00~6:00)をそれぞれ替えて6区設定し,自然日長下で栽培した.また,短日下で2週間の高温処理を(35/25℃),①電照打切り直後から,②電照打切り2週間後から,③電照打切り4週間後から,および④電照打切り6週間後からの4処理区を設けた.頭花内の総苞片数が25枚以上ある株を貫生花として算出した.その結果,‘精雲’の開花は昼温30℃以上または夜温20℃以上になると遅延するようになり,貫生花は,短日処理開始2週間後から2週間,昼温35℃以上または夜温25℃以上の高温に遭遇すると発生することが明らかとなった.貫生花発生の防止対策として,電照打切り直後から3週間,遮光率50%のダイオネットを用いて遮光することにより貫生花発生率を減少させることができた.

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© 2009 園芸学会
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