本研究の目的は、特定妊婦のうち精神疾患を有する者の特徴とその関連要因を解明することである。平成25年に特定妊婦として登録された55人のうち、精神疾患なし群は31人(59.6%)、精神疾患あり群は21人(40.4%)であった。二群比較の結果、精神疾患あり群の方が精神疾患なし群に比して、母子世帯である者、近隣の相談相手がいない者および妊婦健診の受診状況が不定期な者が有意に多かった。また、抑うつ状態や不眠、不安といった症状を精神疾患あり群の方が精神疾患なし群に比して有意に多く有していた。保健師が予測した支援でも、産後の病状悪化や医療機関への受診支援、母親の睡眠確保の必要性が精神疾患あり群の方が精神疾患なし群に比して有意に多く、治療継続支援を行った者の割合も有意に高かった。本結果から、精神疾患を有する特定妊婦に対して、妊婦健診の受診状況の確認や困り事について相談にのることと、妊娠期から精神科や産科と緊密に連携しながら支援していくことの必要性が示唆された。