2015 年 2 巻 p. 11-20
本研究の目的は、一般高齢者の認知症予防に向けて、日常の食生活の中に咀嚼運動を取り入れることによって長期的に短期記憶に影響を与えるかどうかを明らかにすることであった。一般高齢者12名に毎食30回以上咀嚼するよう指導を行い、1週間後及び6ヵ月後に咀嚼力と短期記憶の判定を行った。その結果、咀嚼力と短期記憶が維持・向上する傾向があり、認知症予防につながる可能性が示唆された。よって、高齢になってからであっても、意識的に、継続的に咀嚼運動に取り組むことは、短期記憶の維持・改善のために有用であると考えられた。