2023 年 8 巻 p. 73-80
目的:「時々入院・入所」の状況になっている不安定な状態の要介護高齢者の医療ニーズについて検討するために、老人保健施設の短期入所療養介護(ショートステイ)利用者の医療介護サービスの利用状況および主な傷病の有病率を分析した。
資料及び方法:国内の34の二次医療圏の医療介護レセプトを個人単位で連結して、短期入所療養介護利用者を抽出し、その利用1か月前から利用後11か月までの医療介護サービス利用状況及び主たる傷病の有病率について検証した。
結果:ショートステイの利用率は11か月後には20%前後となるが、他方で施設介護の利用者が増加していた。利用者は高血圧性疾患、糖尿病、脳血管障害、心不全、認知症など多様な慢性疾患に複数罹患しており、1年間の累積死亡率が約20%であった。また、80%前後は外来医療を利用していた。
考察:ショートステイの利用者を経時的にみると1年間の累積死亡率が20%前後、施設介護への移行率が20%であることから医療および介護の両方で重症な者が多いことが推察された。また、利用者の多くは複数の慢性疾患に罹患しており、その在宅生活を維持するためには、かかりつけ医による積極的な医学管理が必要であると考えられた。