抄録
我が国で就労しているシングルマザーは、子育てと仕事の両立を図るうえで、世帯の年間稼働所得は低く、就業形態も非正規雇用が多いことから、労働条件が問題となっている。本稿では、シングルマザーの実態について、個人加盟ができる企業外の組合である「コミュニティ・ユニオン」による支援に焦点をしぼり、シングルマザーが労働問題や生活問題についてコミュニティ・ユニオンによる支援の影響と、意識の変化について質的調査を行い分析した。結果からは、シングルマザーが直面する労働問題に対して、個別の相談対応の過程において、ユニオンによる代弁機能により、問題解決の主体はシングルマザー自身が自己決定を行うことで、達成感や処遇改善を実現するなど、コミュニティ・ユニオンの支援によってエンパワメントが行われていることなどが明らかになった。また、さまざまなひとり親支援の政策について、調査結果から、シングルマザーは公的機関への相談に対して消極的であり、より当事者へ伴走する使いやすい相談体制が必要なことを指摘した。