抄録
目的:長期入院をしている統合失調症患者の認知機能の特徴を検討し、看護援助の示唆を得ること。方法:5年以上入院をしている統合失調症患者35名に対し、背景項目の調査と、PANSSを用いた精神症状の調査、Cog Healthを用いた認知機能の調査をした。結果:対象者は測定した全ての認知機能領域が同年代健常者より低く、男女共に作動記憶の正確さが特に低かった。また男女間に背景項目と精神症状に差は認められなかったが、男性よりも女性の方が遅延再生の正確さが高かった。また入院期間と、作動記憶および遅延再生の正確さと負の相関が男性にのみ認められた。結論:男女の長期入院患者共に作動記憶に焦点を当てた看護援助が、また男性患者に対してはそれに加えて再認機能へ焦点を当てた看護援助が重要である。