抄録
本研究は、小学生を対象に、今後の家庭における健康教育に関する基礎的な資料を得ることをねらいとして、保護者の健康生活習慣に関する情報源の採用過程について検討した。調査対象は、92年に立川保健所において3才児健診を受診し、96年に立川の市立小学校に入学した児、及び92年に3才児健診を未受診ではあったが、96年に立川の市立小学校に入学した児1,360名と、92年に立川保健所において3才児健診を受診した後、立川市外へ転出し、現在も追跡可能な101名、計1,461名の小学1年生とした。調査項目は、性別、年齢、家族構成、父親の職業、母親の職業、健康生活習慣について心がけている点5項目、および健康生活習慣についての情報源15媒体とした。統計解析に当たっては、健康生活習慣について心がけている点5項目(「栄養・食生活」、「運動・体力づくり」、「休養」、「むし歯予防」、「視力の低下予防」)のそれぞれを基準変数とし、「情報源」15媒体を説明変数とし、CHAID分析を用いて、小児の「健康生活習慣」の構造的特徴および「健康生活習慣」に影響を及ぼしている情報源を検討した。その結果、小児の健康生活習慣に影響を及ぼす情報源は、1)栄養・食生活は、「新聞」・「同年代の子どもを持つ母親」・「学校保健だより」の3媒体、2)運動・体力づくりは、「テレビ」の1媒体、3)休養は、「新聞」・「学校保健だより」の2媒体、4)むし歯予防は、「新聞」・「学校保健だより」の2媒体、5)視力の低下予防は、「テレビ」、「新聞」、「友人・知人」の3媒体が強く関与していることが明らかになった。