抄録
我が国の経済構造改革を推進する上で、革新的な技術を活かした新産業分野を切り開いていくことが不可欠である。大学・企業等での研究成果を事業化する場合、実用化研究開発等のための資金調達等の「死の谷」の問題が、大きい障害と指摘されている。従って、「死の谷」克服のための公的資金投入の重要性は高く、特に、研究開発型ベンチャー等の有する有用な技術について、効果的な公的資金の活用により、その技術が社会で確実に実用化に至ることを可能とする方策が重要である。本研究では、我が国において実際に公的機関が実施した研究開発の公募事業における申請及び審査の結果の分析と、民間ベースで資金提供を行っているベンチャーキャピタルの状況を踏まえ、研究開発型ベンチャー等に対する公的支援の方向性を考えるに当たり、P2Mの導入の有効性を提示する。