国際P2M学会誌
Online ISSN : 2432-0374
P2M手法に基づいた効果的なODAプロジェクトの実施方法の考察
笹尾 隆二郎
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2017 年 12 巻 1 号 p. 189-209

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抄録
本学会においては、ODA事業(政府開発援助)におけるプログラム・プロジェクトの効果的実施に資するP2Mの活用事例の分析が多数みられる。本論文では、こうした議論を踏まえ、有効性があり、普遍性の高いODAプロジェクト・マネジメントの方法論作成にP2M理論を導入し考察した。その第1の手順としては、JICAの調査団により客観的に評価された「ミャンマー児童中心型教育強化プロジェクト」「フィリピン共和国 ムスリム・ミンダナオ自治区 人材育成プロジェクト」の2つの成功事例を選定した。第2の手順は、共通する有効性要因の探求である。いずれの選択事例でも、P2Mの「タイムマネジメント」に優れた有効性要因が確認された。第3の手順は、P2M理論から実践への有効性管理要因のフィードバックである。その概要は、1) モニタリングシートを活用した異なるマネジメント階層レベルでの適切な頻度でのモニタリングの実施、2) 異常事態・問題点を迅速に認知しチーム内で協議するコミュニケーション文化の醸成、3) プロジェクト目標達成のために必要な計画の変更をいとわない柔軟な対応である。
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© 2017 International Association of P2M and Authors
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