2014 年 8 巻 2 号 p. 1-25
日本企業の組織風土にはイノベーション停滞を引き起こす革新の悪循環がある。P2M理論では、その仮説に立ち好循環に変える鍵を「統合の基本原則」に教示している。前半ではその妥当性を、世界初の「はやぶさサンプルリターン」プログラムのリーダー語録の経験に認められる共通観から論じる。その成功の実践的プロセスは、創造的統合マネジメントにより、随所で説明可能である。後半では、この革命的なイノベーションの教訓を高業績メーカーにも適用して、開発マネジメントの本質を探る。そのパターンは、成長ドメイン戦略と独創的なビジネスモデルが一体的に展開され、プログラムマネジメントに反映されている。その共通目的は、ハードとソフトシステムを融合し収益力と成長力の強化である。本論は経営戦略、ビジネスモデル、経営財務指標尺度で7社を比較評価し、P2Mアーキテクチャ手法により、一流の付加価値を引きだすプラスダイナミクス機構を明らかにした。