2014 年 8 巻 2 号 p. 123-133
建設工事などのプロジェクトでは、現実の課題から概念モデルを作成し、システム工学方法論に基づく数値(QCDや財務目標)を指標にしたマネジメントを行っている。しかし、研究開発や新社会システム構築などのイノベーションプログラムは、プログラム開始時点で課題を概念モデル化することが難しいため、既存の手法だけで対応すると、うまくマネジメントできない可能性がある。本論文では、イノベーションの特徴を示し、実務と理論を架橋する観点から、イノベーションプログラムをマネジメントする際の課題を論じている。特に、スキームモデルとサービスモデルにおいては、社会科学の研究アプローチやソフトシステムズ方法論を活用し、実務経験者にとって「腹に落ちる解決策」に導く研究が必要となることを述べる。