2014 年 9 巻 1 号 p. 141-152
近年、地域における活性化や課題解決を目的とした創発的地域活性化プロジェクトが注目されている。創発的地域活性化プロジェクトは、地域における活性化や課題解決に対して問題意識を持つアクター の適切なコミュニケーションによって組織化され発生することから、スキームモデル段階において、場の設置やつながりを支援するプラットフォームの形成が行われてきた。一方で、創発的地域活性化プロジェクトはオーナーが不明確であること、新たに参加するアクターの目標が多様化していること、外部環境の変化を受けやすいことなどから、システムモデル段階でプロジェクトの目標そのものが曖昧になることが多く、課題が山積している。 本論ではこれらの課題解決を目的とし、神奈川県小田原市における創発的地域活性化プロジェクトを対象に、オーナーの設置、定期的なシンポジウムの開催による地域住民との合意形成とロジックモデルのローリングの実施、プロジェクト間の資源の共有や創発を促進するプログラムプラットフォームの形成を試みた。これらの事例研究を通じ、例証した結果について報告する。