CSR(企業の社会的責任)については、本業外での環境や社会問題への貢献、あるいは本業における生産過程での排出有害物質の削減、雇用問題等が想起されることが多いが、それよりももっと根本的な問題は、企業が世に送り出すサービス(モノも含む)が、社会的責任を全うしているかどうかである。時代背景(era)とはインスティテューション(社会経済文化システム・体質)の一要素であり、それぞれの背景においてCSRの対象へのインパクトや持つべき意味は異なる。本稿では、時代背景の変遷を概観し、日本企業の今後の生き残り策との関連の中でCSRのあり方を論じる。近未来に日本企業が追求しなければならないのは、主にサービスウェア、ヒューマンウェアを媒体とする高度サービスであり、その中には独自性、伝統性、文化性が当たり前の要素として含まれていなければならず、浮薄なブランド等は排除される。