抄録
生産拠点としての役割を担ってきた中国を中心とするアジア諸国において,近年巨大な市場としての可能性が顕在化し始めた.従来から活発に国際マーケティングを展開してきた日本の家電企業は,この動きにどのように対応しようとしているのか,先行研究をレビューした上で枠組みを設定した.そしてその切り口に基づく設定指標の推移を分析した結果,新しい枠組みの必要性が発見された.また,海外での市場活動が活発化すればするほど国内生産された競争力の高い製品が海外に輸出されることも明らかになった.さらに,そこには部品などのデバイスと消費財などとの相乗効果が関連していることも分かった.これらの発見は,能力リレー型としての日本型企業の強みを基盤とするものである.