本稿では、電子私書箱構想が電子政府基盤の一環として整備されつつある状況を射程に捉え、マイクロデータとしての企業のトランザクションを計測し、これをマクロの国民経済活動の会計的な『推計』システムであるSNAに直接『記録』できるような会計的なインタフェースについて検討する。筆者らはこれまで、電子私書箱を基盤とした企業・個人の経済活動をクラウドソーシングする技術、データ代数・交換代数標準形によるデータ管理・データ処理を設計・実装する技術の開発並びに実証実験を積み重ねてきた。本研究では、こうした基盤技術のもとに、国民経済活動を、従来の事後的な統計調査に代替する、トランザクションベースで実測する会計上の方法論を提供する。