抄録
IAP2Mでは、階層性を持つマネジメントリスクの概念について、その全体像をP2M Version2.0の中で明確に定義を示した。その基本的な解釈は、リスクは組織がプロジェクト活動を進める際の回避や排除のための障害と捉えるのではなく、外部環境に対する学習と受容の機会と考える姿勢である。本論では、リスクへの認識が社会システムの中で組織や企業の内から外に向けた広がりを起こし、次第に社会への貢献と責任の取り組みに変化していく姿に注目する。その考察には、学理の視点で生存可能システムとシステム方法論を、また実業世界で展開されるPM活動を人間思考の意思決定の原理の中に探った。そこから導き出される一つのモデルを複合組織型モデルとした上で、社会インフラの整備・発展に向けての展開の可能性を推論する。