本論文では,FDの方法論にP2Mの概念を適用することで,FDの方法論的整備を試みた.著者が京都大学で進めているビデオ教材を用いたFDの方法に,コミュニケーションマネジメント,バリューマネジメント,ナレッジマネジメントの概念を適用し,その方法論的な意義と課題を明らかにした.まず,FDビデオ教材(1)の考察では,教育はマネジメント的側面だけでなく,生成的側面にも目を向ける必要性を指摘した.次に,FDビデオ教材(2)の考察では,教員ワークショップに実践コミュニティの概念の適用可能性が高いことを指摘した.さらに,それら2つを活用したケース教材の考察では,ケースメソッド教育と知識創造理論のSECIモデルが有機的に関連することを指摘した.
抄録全体を表示