抄録
本稿では、日本の行政組織が現下の厳しい社会経済情勢に対して的確な対応をするためには何をすべきかについて、イノベーション・マネジメントの観点からの提案を行う。具体的には、イノベーション・マネジメントに関する先行研究のレビューから現在の日本の行政組織では「総合的なイノベーション」を実施するための体制が弱く、当該分野への取組が必要であることを提案する。また、福祉政策に関する事例を通して、このような取組の有効性等を検討する。あわせて、現在日本で行政組織の改革の一環として取り組まれている「特区制度」、「仕分け制度」についてイノベーション・マネジメントの観点からの検討を行う。