抄録
グローバルなデジタル化進展と競争激化や、SDGsへの対応、内なる少子化・高齢化などの構造的問題の下、わが国の都市や地域は数々の課題を抱えその持続性に不安を覚える状況にあり、日本政府は「都市や地域のまるごとアップデート」を図る「スーパーシティ構想」による、デジタルテクノロジーを活用した変革などを実施しこれら課題の解決を図ろうとしている。一方これら社会の構造変革のための動きは、P2M理論の想定する特定の主体が「オーナー」となり当該主体の職能の範囲内のミッションを実現しようとする通常の「プログラム」のスケールを超えるが、社会価値創造を実現するP2M理論の考え方の重要性は高い。かかる問題認識の下、「スーパーシティ構想」など社会構造変革のための取り組みにおけるP2M理論の果たすべき役割を、関連研究と前橋市の取り組みを題材に検討し、P2M理論の拡張の必要性と方向性を提案した。