抄録
環境省では、複数の課題の統合的な解決をめざすSDGsの考え方に基づき「地域循環共生圏」の構築を推進している。地域で循環圏を作るプログラムは全国各地で取り組まれているが、概念的なビジョンを具体的なプロジェクトにブレークダウンすることが難しい。地域のさまざまなプログラムをつなげ、地域の全体感をもってマネジメントしていくリアリティが描きにくい。本報告では、神奈川県西部の南足柄市、開成町、松田町の連携による木質バイオマス利活用の協議会を事例とする。本協議会は、地域の地域循環共生圏をめざすプロジェクト群のプロファイリングマネジメントを実施しており、地域における複層的な循環資源の関係、アクターを明らかにし、プログラム実現のためのストーリーを作成した。特に地域の資源量や需要量を精査することで、これまで曖昧であった地域のストーリーの規模を明確にすることが、合意形成においてどのように機能したかを分析する。