抄録
地域社会課題解決事業においても、いわゆる「アジャイル型」手法の導入が求められるようになっている。本研究では、著者による一連の地域社会課題におけるP2M研究をベースに、「アジャイル型」手法導入についてその得失も含めて提案する。なお、「アジャイル型ソフトウェア開発」とは本来軽量ソフトウェア開発手法の考え方であり、社会課題解決事業とは直接の関係はない。しかし、社会課題解決事業の価値向上には、従来型の一度プロジェクトをスタートさせたら、完成を見るまで事実上特段のマネジメントが行われない慣行の打破が必要不可欠である。これは、現在ソフトウェア開発以外でも使われることが多い「アジャイル」的な考えと軌を一にするものである。本研究では、社会課題解決事業において「アジャイル」型のプログラム・プロジェクトの実施に必要な要素を仮説として形成した。そしてW-BRIDGEの各プロジェクトを定量指標化することによって、マネジメントとプロジェクトの価値の関係を明らかにした。