抄録
ごみ拾いSNSアプリを導入する自治体が増加している。ごみ拾いSNS「ピリカ」というアプリで、ごみ拾い活動の見える化を可能にした。環境スタートアップである株式会社ピリカが開発し提供しているサービスである。地域住民は街で散乱している(落ちている)ごみを拾うごとにSNSで投稿する。この投稿によって、ごみを拾った位置情報が特定され、回数も登録される。さらに、人とのつながりを促進する工夫や、ごみ拾いのインセンティブを高める工夫がされたアプリとなっている。住民と自治体がつながり、ともに活動することでサーキュラー・エコノミーの推進につながることが期待される。その有効性が期待される一方で、その導入の評価はまだ十分に把握されていない。本研究は次の3点を明らかにした。第1は、導入の目的は何か。第2に、導入した自治体は効果をどのように評価しているか。第3に、社会的インパクトは何かである。
導入自治体に対するアンケート調査の結果、環境美化運動の推進や地域住民一人一人のごみ問題の意識を高めるために導入され、それらの効果が高く評価されていることが明らかになった。また、社会的インパクトとして地域に拠点のある民間企業への影響も意識されていることが明らかになった。