抄録
本稿では、地域住民と自治体の相互作用を考慮した公共交通機関選好の変化をシミュレートするエージェント・ベース・モデルを提案する。本モデルは、モビリティ・マネジメントの考え方に準拠し、自治体による啓蒙活動と地域住民間の相互作用に注目する。P2Mの3Sモデルとの対応付けを行い、シミュレーションを実施した。結果は以下の通り: 1)自治体と全地域住民の接続が部分的であっても、地域住民間の相互作用を通じ、選好度の向上に寄与すること、2)地域住民間の相互作用のみでは、初期状態の選好が大きく変化せず、外部からの影響が重要であること。得られた成果は、持続可能な交通政策の策定に資するものであり、実社会でのモビリティ・マネジメント実践に対して有益な示唆を与えうる。