現在地域住民の高齢化、若年人口の減少により多くの民俗芸能の継続が危ぶまれている。全国最多の国指定重要無形民俗文化財が存在し、また人口減少率が最も高い秋田県でも多くの民俗芸能が同様の危機に瀕している。本稿ではこうした状況をふまえ、約20年にわたる民俗芸能の継続・廃止の記録と国勢調査による小地域の人口構造を紐づけ、統計分析を行った。分析の結果、民俗芸能継続の確率と年少人口の割合で正の弱相関が認められた一方、高齢者人口の割合とは相関が確認されなかった。これらの結果から民俗芸能の継承には実施地域の少子化という根本的な人口構造の問題に取り組む必要性が示唆される。