国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要
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11 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 村山 めい子
    2020 年 11 巻 p. 1-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
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    新型コロナウィルスの全世界への拡散前は、世界の観光需要は今後も拡大することが見込まれ、それに合わせて日本のクルーズ需要も増加することが予想されていた。クルーズ観光は経済効果があるものの、社会や環境に与える弊害もあり、今後は持続可能なクルーズ観光が望まれる。それを達成する上で最も大切なのは、受け入れ地域のクルーズ観光に関わるすべての事業者、団体、自治体、住民(バリューチェーン)が持続可能で、責任を持った観光を実践することである。本稿では、これまでの観光及びクルーズ観光文献をもとに、秋田ではまだ馴染みの薄いクルーズ観光の理解を深め、国連世界観光機関(UNWTO)の提唱する持続可能な開発戦略を元に、今後の秋田県へのクルーズ観光の持続的で自律的な発展につながる提言を記す。
  • 台湾人旅行者の観点からの4つの提言
    川村 巴
    2020 年 11 巻 p. 25-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    秋田県大館市発祥の「秋田犬」は近年、世界中から注目を集めている。秋田犬を「キラーコンテンツ」として訪日外国人観光客の誘客で成果を上げるために、今、何をすべきなのか。本稿では、2019年12月に台湾で行った観光関係者や秋田犬関係者へのヒアリング調査を基に、台湾の人々が抱く秋田犬のイメージを浮かび上がらせ、台湾からの誘客のためにいかなる戦略と戦術が必要か論じ、いくつかの提言を行う。
  • 阿部 邦子
    2020 年 11 巻 p. 43-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    この小論では、江戸後期『解体新書』の木版附図の下絵を任された秋田蘭画の絵師小田野直武による「扉絵」及び一部の図の引用元本とされるアントワープで出版された1568年版ワルエルダ『解剖書』、また当時の舶載書として唯一確認されている、秋田藩医稲見家伝来のワルエルダ『解剖書』本との関連を、同時期の関係文献を通して探り、書誌学、図像学の視点から、謎の解明にせまる。
  • 秋葉 丈志・嶋 ちはる・橋本 洋輔・平田 友香
    2020 年 11 巻 p. 57-71
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
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    本稿は、2019年度に当研究班が実施した外国人介護人材受け入れに関する秋田県内の介護事業者に対する質問紙(アンケート)調査の結果を報告し、分析と意義づけを行うものである。当班のメンバーは2015年度にも県内事業者に対して一斉調査を実施したが、その後外国人材の受け入れ制度が大幅に拡充し、県内においても外国人介護人材受け入れの機運がより高まったことを受けて、改めて意識調査を行ったものである。なお、2019年度は県も介護事業者に対して一斉調査を行っており、当調査はその結果に着目しつつ、日本語教育への支援と生活支援に特化してより具体的な意識調査を行うこととした。その結果、特に日本語教育に関して、事業者側の意識や態勢に課題があることが見えてきた。以下、これらの調査の経緯や概要を説明したうえで、当班の調査について詳述する。
  • 4つの枠組みと外国人材に求められる日本語力とは
    嶋 ちはる・平田 友香・秋葉 丈志
    2020 年 11 巻 p. 73-98
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、外国人介護人材の受け入れに関わる4つの制度(①経済連携協定(EPA)、在留資格「介護」③技能実習制度、④特定技能)について、各制度の特徴を比較するものである。まず、外国人材に求められる日本語力と秋田県における受け入れ状況という視点から整理し、現状を把握する。さらに、秋田と岩手でEPAと技能実習制度を利用して来日した外国人材を受け入れている施設の事例を取り上げ、受け入れ施設への訪問調査や現場での観察記録等に基づき、現場で行われている支援の実践や課題について論じる。
  • 成澤 徳子
    2020 年 11 巻 p. 99-110
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
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    秋田県を代表する民俗行事のひとつ「男鹿のナマハゲ」は、1978年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2018年には「来訪神:仮面・仮装の神々」のひとつとしてユネスコの無形文化遺産に登録された。この40年間にナマハゲ行事は、少子高齢化による担い手不足や迎え入れる家の減少といった要因によって半数近くの集落で途絶えた。本稿では、ナマハゲ行事を実施している3つの集落での調査に基づき、観光客や外国人留学生などを助っ人として行事に取り込んでいる事例や、行事の再開や再興の契機に地域への移住者が重要な役割を果たしている事例等から、行事の継承に関する現状と課題を整理する。
  • 根岸 洋・上野 祐衣・熊谷 嘉隆
    2020 年 11 巻 p. 111-120
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    江戸時代の「ねぶり流し行事」を原型とする「秋田の竿灯」は、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定された文化遺産である。1931年に発足した秋田市竿灯会は妙技会を初めて開催し、その後「竿燈」の用語が広く用いられるようになった。実行委員会が主催する「竿燈まつり」となったのは1965年以降である。現在行事の後継者不足は顕在化していないものの、今後の少子高齢化が予想されることから、若年層確保のための取り組みが幾つか行われている。また本行事に外国人参加についてのガイドラインは設置されておらず、国際教養大学およびその前身であるミネソタ州立大学秋田校の竿燈会という組織単位で、外国人留学生が継続的に参加している。他方、各町内会の竿燈会のメンバーになるためには町内に一定期間住むことが求められるため、滞在期間が限られる留学生にとってはハードルが高いのが現状である。
  • 秋田県の事例から
    中川 秀幸・石川 真知子
    2020 年 11 巻 p. 121-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
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    現在地域住民の高齢化、若年人口の減少により多くの民俗芸能の継続が危ぶまれている。全国最多の国指定重要無形民俗文化財が存在し、また人口減少率が最も高い秋田県でも多くの民俗芸能が同様の危機に瀕している。本稿ではこうした状況をふまえ、約20年にわたる民俗芸能の継続・廃止の記録と国勢調査による小地域の人口構造を紐づけ、統計分析を行った。分析の結果、民俗芸能継続の確率と年少人口の割合で正の弱相関が認められた一方、高齢者人口の割合とは相関が確認されなかった。これらの結果から民俗芸能の継承には実施地域の少子化という根本的な人口構造の問題に取り組む必要性が示唆される。
  • 豊田 哲也・成澤 徳子
    2020 年 11 巻 p. 129-138
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    韓国では少子高齢化が急速に進行し、農村部では深刻な人手不足が生じている。2004年の雇用許可制の導入、2007年の訪問就業制の導入などにより、韓国の外国人労働者数は飛躍的に増加しているが、農村部での労働需要を十分に満たすことはできていない。韓国政府は、2015年に農業部門での季節労働者制度の導入に踏み切った。韓国の農業季節労働者制度は、受け入れの主体として地方自治体に大きな権限と責任を与える点が特徴的である。本稿では主にオム・ジンヨンらの報告に依拠しながら、韓国の農業季節労働者制度を紹介し、日本での導入の可能性を議論するために必要な今後の調査課題を明らかにしたい。
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