秋田県を代表する民俗行事のひとつ「男鹿のナマハゲ」は、1978年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2018年には「来訪神:仮面・仮装の神々」のひとつとしてユネスコの無形文化遺産に登録された。この40年間にナマハゲ行事は、少子高齢化による担い手不足や迎え入れる家の減少といった要因によって半数近くの集落で途絶えた。本稿では、ナマハゲ行事を実施している3つの集落での調査に基づき、観光客や外国人留学生などを助っ人として行事に取り込んでいる事例や、行事の再開や再興の契機に地域への移住者が重要な役割を果たしている事例等から、行事の継承に関する現状と課題を整理する。