2021 年 13 巻 p. 27-42
秋田市日本語教室は「生活者としての外国人」1)を対象に秋田市によって運営されているが、近年学習者の大きな変化が見られ、教室のあり方を見直す時期を迎えている。本教室の講師でもある筆者らは、現在に至るまでの秋田県内の国際化と日本語支援及び秋田市日本語教室の歴史的経緯をまとめ、さらに秋田市日本語教室の元講師や現運営者である秋田市企画調整課に聞き取り調査を行った。その結果、秋田の日本語支援は大きく(1)「民間ボランティアによる支援期」、(2)「自治体主導の日本語教室形成期」、(3)「短期・中期在留者増加期」の3期に分けられ、時期によって学習者の属性やニーズは変化していることが整理された。特に現在の秋田市日本語教室は技能実習生の増加に伴い、教室を利用する学習者のニーズの多様化が著しい。そのため、文法積み上げ式の教科書を使い、長い時間をかけて支援をしていくという従来の方法は学習者が求めている支援とは言えなくなってきている。多文化共生社会の実現に貢献できる地域日本語教室2)を築いていくためには、その時の学習者にとって必要な日本語を的確にとらえ、支援していくことが重要であることが改めて明らかとなった。