2020 年 68 巻 3 号 p. 1107-1113
13世紀インド・マハーラーシュトラで活躍したヴォーパデーヴァが残した数々の作品の一つに『ハリリーラー』が挙げられる.この作品はバーガヴァタ・プラーナの内容を章ごとに簡潔にまとめた「索引」とも言うべきものである.この作品に対して『ハリリーラーヴィヴェーカー』と題する註釈書の存在が知られているが,多くの研究者はその著者を16世紀に活躍した不二一元論思想家として著名なマドゥスーダナ・サラスヴァティーであると同定している.しかし本論文では註釈書の著者がヴォーパデーヴァのパトロンであり,13世紀にヤーダヴァ朝で宰相として活躍したヘーマドリであった可能性を検討する.