印度學佛教學研究
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『尊母釈』における『圓集要義』の十六空理解
木村 整民
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2020 年 68 巻 3 号 p. 1208-1211

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抄録

『尊母の伝統に従う注釈』(*Bhagavatyāmnāyānusāriṇīnāmavyākhyā,以下『尊母釈』)は,『八千頌』(Aṣṭasāhasrikā Prajñāpāramitā,以下『八千頌』)の注釈書である.『尊母釈』は,『八千頌』第二十九章を注釈する最後に,『八千頌』と『般若波羅蜜多圓集要義論』(Prajñāpāramitāpiṇḍārthasaṃgraha,以下『圓集要義』),また他の注釈書を引用し,十六空を解説する.その中でも特に『圓集要義』は十六空の一つ一つの解説すべてに引用されることから,その重要性は明らかである.しかし,『尊母釈』における十六空の配列は『中辺分別論』(Mādhyāntavibhāga)と一致する.これも『尊母釈』と『圓集要義』の異なる点であるが,本論文では,『尊母釈』と『圓集要義』が引用する『八千頌』の文に相違がある点について検討した.

『圓集要義』では,計六カ所に『八千頌』の文が引用される.また,第六偈によれば,それらの引用文は『八千頌』においても「順番通りに」説かれていると言う.しかし,『尊母釈』が引用する『八千頌』の文は『圓集要義』と異なるものもあり,それらは『圓集要義』が述べる様に『八千頌』において「順番通り」に説かれていない.したがって,『尊母釈』に説かれる十六空の順番を『圓集要義』の順に従って並び替えた場合,一切法空と勝義空で引用する文が,『八千頌』においては畢竟空に引用する文よりも前に位置し,説示の順番が逆転する.本論文では,一切法空を例に挙げ,その点について明らかにした.

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© 2020 日本印度学仏教学会
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