日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
挿管人工呼吸患者の離床は呼吸循環動態を悪化させるか?
有薗 信一平澤 純長谷川隆一小川 智也渡邉 文子古川 拓朗田平 一行
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2015 年 25 巻 3 号 p. 378-383

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抄録
挿管人工呼吸患者の離床に関する安全性が確立していないため,挿管人工呼吸患者の離床が呼吸循環動態に与える影響について検討した.対象は当院のリスクマネージメント基準に沿って離床を実施した挿管人工呼吸管理患者37例.離床開始前,実施中,終了時に,血圧と心拍数,不整脈の有無,呼吸不全の悪化などを評価し,離床による呼吸循環動態への影響を評価した.離床は立位までが21例,端坐位までが16例であった.人工呼吸患者の収縮期血圧は開始前平均 116.4 mmHg,実施中は 119.8 mmHg,終了時は 119.0 mmHgと有意な変化を認めなかった.心拍数も開始前 92.5 bpm,実施中 95.7 bpm,終了時 94.1 bpmと変化を認めなかった.最低SpO2は96.6%で90%未満になる患者はいなかった.実施後に血圧が不安定となり強心薬を増量した患者や呼吸状態が悪化した患者はいなかった.
リスクマネージメント基準に基づいて開始した挿管人工呼吸患者に対する端坐位と立位までの離床は,呼吸循環動態を悪化させずに実施することができた.
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© 2015 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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