印度學佛教學研究
Online ISSN : 1884-0051
Print ISSN : 0019-4344
ISSN-L : 0019-4344
Sambandhaparīkṣā v.4におけるekābhisambandhaの解釈について――諸註釈の比較を中心に――
高 婷
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 72 巻 3 号 p. 1077-1080

詳細
抄録

 ダルマキールティのSambandhaparīkṣāは,関係(sambandha)の実在性を否定する一般的な批判と個別な批判から構成される.一般的な批判(vv.1–6)において,ダルマキールティが挙げる第四の観点(v.4)で言及されたekābhisambandha(単一の〔もの〕との関係を指す)という概念は,関係が実在であるという反論者の主張の根拠になっている.先行研究では,前半の対論者の主張について異なる解釈があり,これは主にekābhisambandhaという語句の理解の違いによるものである.この問題に焦点を当て,本稿では,まず対論者の主張に対する諸注釈であるSamba­ndha­pa­rīkṣāvṛtti(SPV)とSambandhaparīkṣāṭīkā(SPṬ)とSambandhaparīkṣānusāriṇī(SPA)の理解を検討する.ekābhisambandhaについては,SPV・SPṬは具格の格限定複合語として解釈する.ekaを三つに場合分けして説明し,abhisambandhaを実在する関係を指すのではなく,二つの関係項と単一のもの(eka)とが関係する状態を指すと解釈する.それに対して,SPAはekābhisambandhaという複合語を同格限定複合語と具格の格限定複合語として両義的に理解する解釈を提示している.この単一の実在としての関係が内属を指すことは明らかである.次にダルマキールティの批判内容に関する諸注釈の異なる解釈の比較を通じて,第四偈の意味を解明する.対論者の主張への批判としては,SPV・SPṬは,関係と関係項とが同一・別異・一異不可説という三つの選言の想定と,無限遡及の過失,という二つの側面から単一で実在する関係を批判するのに対し,SPAは単一で実在する関係を明確に内属と解釈した上で,その内属を存在論的および認識論的視点から否定している.

著者関連情報
© 2024 日本印度学仏教学会
前の記事 次の記事
feedback
Top